長かった長かった。

最後まで結局ラスコーリニコフ君は自分がナポレオンのような偉大な人物だと思い続けていたということに、安易にハッピーエンドに終わらないドストエフスキーの深さを見た。

この本における思想は、現代の犯罪者の中にも少なからず息づいているものであろうとおもうので、ぜひ多くの人に読んでもらいたい(まあ、たくさんの人が読んでいるんだろうけど)。

罪と罰 (上巻)

2006年4月18日 読書
古典挑戦も慣れてきたが、これはちょっと苦戦してる。

「社会の害悪にしかならない人物を殺すのは果たして罪なのか」という命題に挑戦している作品。

とにかく哲学的で難しい。

ラスコーリニコフとか、ラズーミヒンとか、名前も覚えにくい(何回も出てくるやつはさすがに覚えるけど)。

ひとつだけ言いたいのは、

デスノートの作者は絶対この本を読んで影響を受けているはずだ!

間違いない!!!

草枕

2006年3月23日 読書
とても芸術的な本だった。

難しい言葉の羅列の中にまた難解な俳句や漢詩が混じっているという読むだけでも苦労する作品だった。

漱石の言いたいことについては半分も理解できてないと思うけど、絵描きの語る‘非人情の世界観’はなんとなく心揺さぶるものがあった。

西洋の文化が流入したてであった明治の時代だからこそ生まれた作品であるように思えた。

スローライフの極みといった感じの世界を垣間見れます。

もものかんづめ

2006年3月21日 読書
とても面白かった。

俺は「あのころ」シリーズよりも好きだ。

さくらももこについてはまる子の印象しかないから、思春期の恋の話とか、大人になってからの話とかを読むと新鮮で面白い。

これもシリーズもので、続きが2冊あるようだからそっちも読んでみようかな。

坊っちゃん

2006年3月16日 読書
かねてより、高校の文学史で習うような有名な人の本を読んでみたいと思っていたのだけれどもなかなかその機会が無かった。

そこでこの春休みをいい機会だとして、これからそういう本を読んでいこうと思う。

そこでまず坊っちゃん。

新潮文庫の「文豪ナビ」という本の夏目漱石のやつにこの順番で読むといい、というようなことが書いてあり、その最初がこれだったので読んでみた。

なるほどワーワー言われるだけあって面白い。

その文体を追っているだけでも楽しむことができるだけでなく、内容も極端な性格の坊っちゃんの行動を通して普段自分が心の中にためている鬱憤を晴らしてくれるという感じでよい。

最近の小説のように回りくどい感じがしないのもいいと思った。

1年くらいかけてボツボツ夏目漱石の本を読んでいきたいと思う。

まる子だった

2006年3月15日 読書
ついにこの3部作を読みきった。

終始同じ感じだからやはりどの本から読んでも同じだったな、という印象。

ただ、おまけページまで楽しもうと思うと、この本についている間違い探しの答えが「ももこの話」についているから順番通り読むほうが賢明でしょう。

注目すべきところはももこの家が2階建てだということ。

アニメだと平屋じゃん、と思うがそういう違いもあるのかあと思わされる。

後、これはちびまる子ちゃんのあの話の元ネタだな、というのが分かると妙に楽しい気分になれる。
とてもいい話だった。

「いい人」と「悪い人」がでてきて、いい人は往々にして辛い思いをすることが多いけど、そんなことばかりじゃないんだよ、だからひねくれたりせずにまっすぐ生きよう、という感じの作品だと思う。

そんなことありえるのか、という気もするけれども、ラストの展開には胸のすく思いがした。

「人生はきっと‘人生って何だろう’って問われるために僕たちに有るんじゃないのかな」というせりふは印象的。

もうひとつ収録されている「多輝子ちゃん」はなんかすごい詩的な文章で教科書を読んでいるような気分になった。

あのころ

2006年3月11日 読書
仕切りなおしでシリーズ第一作を読んでみた。

とても読みやすくあっという間に読みきってしまった。

読んでいると小学校低学年のころの話が多いように思う。

特にちびまるこちゃんの設定にもなっている3年生のころの話が目立っている感じ。

そのころが、変に大人びてなく、すべてのものを感受性豊かに受け得れ、驚きと発見に満ちた生活を送る年頃なのだろうな、と思った。

ちびまる子ちゃんが読みたくなってくる。
「バチスタ」という文字を見てまず思い出したのが漫画の「医龍」。

大好きな漫画なのでバチスタ手術という同じテーマを扱っているのならどっちが面白いのか見定めてやろうという思いで(実際はただ興味がわいただけであるが)読んでみた。

対決の結論は、漫画と小説で舞台も違うのだし、比べること自体おかしい、というもの。

この小説は文句なく面白いといえる。

主人公とそのほかの登場人物との会話で物語りは進行していくのだが、まったく退屈することなくどんどん読み進められる。

そして前半と後半の鮮やかなコントラスト。

強烈キャラを後半から投入することによって読者は一気に物語りに引き込まれていく。

それぞれの人物像がしっかり見えてくるし、最近読んだ小説の中で最高の評価を与えたい。

ももこの話

2006年3月4日 読書
この本は3部作の3作目である。

それを最初に読んでいることに気付いたのはあとがきを読んだとき。

物語になっているわけではなく、どれから読んでもかわりは無いのだろうが、なんか損をした気になってしまった。

まあそんなことは些細なことで、とても面白い本だった。

「ちびまる子ちゃん」の世界を想像して読んだところ、ももこの家が八百屋だったり、「まるこ」ではなく「ももこ」と呼ばれているところなど、ちょっと違うんだな、と思いながらもほとんどアニメと変わらぬ世界観に十分に楽しませてもらった。

ただ、「この人は何で子供のころのことをこんなにも覚えているんだろうか」という疑問はぬぐいきれない。

まあそんなこと考えずに素直に笑っとけばいい話なんだけどね。
友達の勧めで読んでみた。

浅田次郎の本は、「壬生義士伝」だけ読んだことがあったのだが、これはまた一風かわった感じだった。

社会のはみ出しモノ三人が集まって自分をそんな立場に追いやったものを懲らしめるという内容。

文体があまり読んだことのないような感じで新鮮だった(それが浅田次郎らしさなのだろうか)。

しかし話にあまり入り込めずなんか知らん間に読み終わってしまった。

俺にはこの作者はあわないのだろうか。

この本は3作シリーズの1作目で、この一冊だけで判断するのは無理な話なんだろうけど、残りの2冊を読む気がすすんで起きるような感じはない。
今までエッセイというものにはまったく手を出したことが無かったけど、奥田英朗は好きな作家だし、スポーツネタということで興味がわいて読んでみた。

とても面白かった。まったく考えさせられることが無いので手軽にぽんぽん読めるので移動時間だけで読みきってしまった。

スポーツというものを普通の人とは違う代わった目線で見ていて、「そういえばそうだよなあ」と思わされることがたびたびだった。

エッセイというのも作家の違った一面を見ることができるという点でいいかもしれない。

この本の内容は少し古いので、続編があるのならば読んでみたいし、無いのならば書いてもらいたい。
中田英寿や北島康介のマネジメントで有名なサニーサイドアップ。

「トップスポーツビジネスの最前線」という本でその存在を知って以来興味を持っていたが、最近この本の存在を知り、早速図書館で借りてきて読んでみた。

実はマネジメント業は主たる事業ではなく、PR会社というのがこの会社の実態なのだそうだ。

「PR」と「広告」の違いから、PR業とマネジメント業が互いにどのような関係にあるのかなどを、前園真聖や中田英寿のマネジメントや東ハトの事業再生の実例を出しながら説明している。

イルハン騒動や、中田の東ハト役員就任などの経緯と裏側が分かるのも大変興味深い。

「こういう仕事もあるんだ」というのが最初の感想である。

しかし読み進めていくうちに、いろんなところで飽和状態を迎えている現代社会において企業が勝ち残っていくには自己の「ブランド化」が必要不可欠であり、それを手助けするサニーサイドアップのような会社はより需要が高まっていくんだろうな、ということを強く感じた。

また、個人個人にしても、オンリーワンの価値を創造し、「ブランド化」をすることとそれをPRするすべをもつことが必要とされる時代になっているんだな、と思った。

夜市

2006年2月9日 読書
日本ホラー小説大賞受賞にして、直木賞候補作。

今までまったくホラーを読んだ事がなかったのでこれを機会に読んでみようと思って購入。

一気に読み終えた。

感想としては、「ホラーではない」と思う。

怖さを感じるようなことはまったく無かった。

アマゾンのレビュアーの人たちが言うようにホラーというよりファンタジーだろう。

ホラーの要素を除けばさすがはデビュー作にして直木賞候補になっただけあって面白かった。

いつも展開の起伏が激しいのを読んでいるからこういう淡々とした涼しさを感じる話を読むのは新たな発見が多い。

短編二つとも少年が主人公なのだが、無駄に責任感を感じてしまうところとか、それでも恐怖が先行してしまうところとか少年の微妙な心の動きが鋭く描写されているのもこの作品の注目すべきところであろう。

また私たちの住んでいる世界と並行する世界を描くという現実味がありそうでないという読んでて醒めてしまわない、いいラインをついている。おとぎ話のあの感じである。

読みたい人はホラーの恐怖を期待せずに読んでほしい。
この作者の作品は、「夏のロケット」「リスクテイカー」「ニコチアナ」「The S.O.U.P.」と読んできたけど、この作品は一風変わった雰囲気だ。

すっごいネガティブ。読んでるこっちが暗くなっていく。

何の具体的な目標も無いまま時の流れに身を任せて生きていたら、いつの間にか社会から取り残されてしまったという感じの話。

異星人探査の話が出てくるんだけど、これを読むとむしろ異星人なんて見つけられないんじゃないかな、と思ってしまう。

「地球人も立派な宇宙人」というせりふは印象的。
この作者は、「800」という小説で有名だが、はそれをはじめとして一通りこの作者の本は読んできた。

なんか、もうこの人の本はいいかな、って思えた。

めくるめく展開、ハチャメチャな設定、適度な性描写。スピード感にあふれる作品といえるのかもしれない。

でも明らかに物足りない。薄っぺら過ぎる。

時間の無駄とまではいわないけど、暇つぶし以上の価値を感じにくい本であった。

マドンナ

2006年1月29日 読書
イン・ザ・プール、空中ブランコで有名な作者。

両作品が面白かったのでほかの作品も読みたいと思っていたけど、なかなか読む機会が無かったのだがやっと読めた。

40台のサラリーマンの置かれている微妙な立場が面白おかしく描かれていてとても楽しく読めた。

どの話の主人公も課長という上からも下からも圧力のある中間管理職の辛さを体現している役職についており、自分のプライドと闘いながら回りの環境と折り合おうとしているさまは、滑稽でもありながら、「日本のサラリーマン」のあり方を見た気がした。

日本の会社の中はこんな風になってるんだあ、って言う部分が結構あった。

死神の精度

2006年1月23日 読書
今まで読んできた伊坂作品の中でもラッシュライフに匹敵するほどの面白さだった。

さすがは直木賞の候補に挙がるだけはある。

「このミス」にランクインしてたりするけど、まったくミステリーではない(ミステリーっぽい話もあるけど)。

一人の死神の周りで起こる話の短編集。

人間ではないものを中心として物語が紡がれていく中で、むしろ人間というものがよく見えてくる、という不思議な気分が味わえた。

短編同士がリンクしている辺りはさすがだな、と思わせるものがある。

また、重力ピエロに出てきたあの人が登場するのだが、その人の言った言葉がとても印象的だった。

お勧めの話は最後の二つ。

特に一冊読み進めてきた上で最後の一話を読むと、すごい爽快感というか、いい気分になる。

きっとこの話を読むと、無性に「ミュージック」という言葉を使いたくなります。
「このミス」の2位をとった話題作。

1位の東野圭吾のやつは直木賞も取ってすごいみたいで、そっちも読みたいが、値段を考慮してこっちを読んだ。

最初に犯人が分かるという古畑方式の話。

こういうタイプの話は読んだことがなかったのでかなり新鮮な感じだった。

一番大事なところが最初に知らされるわけだから、最後にどんでん返しが待っているということはない。

しかし、じわじわと追い込まれていく犯人を見るのはかなりはらはらするものがあった。また終わり方も「お前は正義なわけではないのか!」って感じでよかった。

難点を挙げるとすれば、2時間サスペンスを見ているような安っぽさが全篇とおして付きまとうこと、殺人の動機が「そんなことで!?」って感じで理解しかねることであろうか。

さっと読めるし、十分に楽しめる内容だ。
途中まで読みすすめているうちは、この著者の作品にしては、いまいち深みがない、というか薄っぺらいという印象を受けていた。

しかし、最後の章で、伏線を一気に回収し、痛快なラストに持っていくさまはぐっと引き込まれるものがあった。

裏の裏の裏をかく、といった攻防は見ごたえがあった。

リアリティーはまったくない話だが、小説にそんなものを求める必要はないだろう。

あたかも遠足にでも行くかのような雰囲気で計画を立て、楽しそうに強盗を実行するさまを見ていると銀行強盗が別に悪いことではないような気がしてくるから不思議である。

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